なにかに取り組むときに「漏れなく被りなく思考・検討できているか?」を知りたくなる(あるいは他者から問われる)ことがあります。
そういう時に自分はこの手順で整理することが多いです。
- 対象を分解するための「観点」をリストアップする
- それぞれの「観点」に対して取り得る「選択肢」をリストアップする
- 「観点」と「選択肢」のすべての組み合わせをリストアップした表をつくる
- 表の各行に対して深掘りする
実際にやってみる
やったほうがわかりやすいと思うので、ここでは
「SUZURIにおけるグッズの注文」
を対象として雑にやることにします。
1. 対象を分解するための「観点」をリストアップする
注文について検討するので「買う人」と「売る人」がいそうですね。
注文時の状況も考えてみましょう。SUZURIが「セール」を開催しているかもしれません。買う人はお得な「クーポン」を使うかもしれません。
これらを踏まえて、ここでは「観点」として次の4つを挙げることにしましょう。
- 買う人
- 売る人
- セール
- クーポン
2. それぞれの「観点」に対して取り得る「選択肢」をリストアップする
先ほどの4つの観点に対して、どういう選択肢がありそうかを考えてみましょう。
買う人
SUZURIで販売されているグッズたちは、ふらっと訪れて購入することもできるし、会員登録をしたうえで購入することもできます。つまり、次の2つ選択肢があります。
- (買う人が)ゲストである
- (買う人が)会員である
売る人
SUZURIでは、様々なクリエイターさんがグッズを販売しています。そういったグッズの中から好きなものを購入できますし、自分自身でデザインしたグッズを購入することもできます。つまり、これも2つ選択肢があります。
- (売る人が)買う人と異なる
- (売る人が)買う人と同一である
セール
SUZURIでは、運営によって時々セールが開催されています。開催中に買うとお得です。
- (セールが)開催中である
- (セールが)開催していない
クーポン
SUZURIから会員に向けてクーポンが配布されることがあります。クーポンを使うとお得です。
- (クーポンを)使用する
- (クーポンを)使用しない
3. 「観点」と「選択肢」のすべての組み合わせをリストアップした表をつくる
手順の1と2を整理すると、このようになります。
4つの観点で2通りずつの選択肢があるので全部で 2 x 2 x 2 x 2 = 16 通りですね。
これをすべて書き出すとこうなります。
4. 表の各行に対して深掘りする
最後に、各行について深掘りをします。 深掘りの内容はケースバイケースですが、ほとんどいつもやるのは次の2つです。
- 発生し得るかどうか?をYes/Noで記載する
- 備考にメモを残す
今回の例でやってみた様子がこちらです。
たとえば、SUZURIは会員登録をしないとグッズを販売できない仕様になっているので、「買う人 = ゲスト, 売る人 = 買う人と同一(=ゲスト)」というのはあり得ません。なので CASE 5~8 は「発生する? = No」です。
効能
この手順でやると自分がどこまで理解できていてどこでミスった(いまいちな検討内容になった)のかがわかるので便利です。
「観点」のリストアップ(手順1)で指摘された場合は、向き合う対象のことを理解できていない可能性が高いので、詳しい人に話を聞くことが有効でしょう。
「選択肢」のリストアップ(手順2)で指摘された場合は、「観点」に対する有効な切り口を発見できていないかもしれません。たとえば今回の例では「買う人」という観点に対して「ゲストである」or「会員である」という選択肢を出しましたが、ほかにも "同じメールアドレスを使って何回買っているか” という切り口で「1回だけ買った」or「2回以上買った」という選択肢にすることもできるかもしれません。
(手順3は組み合わせをリストアップするだけの機械作業なので、この手順に指摘はないはず。)
各行に対しての深掘り(手順4)で指摘された場合は、実際どうなるのかに対する認識や想像力が足りていないと考えられます。実状に詳しい人に話を聞くと良いでしょう。
手順4までいくとCASE番号を指しながら会話ができるので、認識の齟齬が発生しにくくなります。これも便利ですね。
おわりに
取り組む対象が複雑になってくると頭のメモリだけでは限界がきます。そういうときに今回の手順は有効だと思います。
加えて、お金や法律に関わる取り組みの場合は小さなミスが大きな問題に発展する可能性があるので、全体像を把握してミスの発生を最小化するためにも有効だと感じています。
このブログを書くにあたってつくったGoogle スプレッドシートを(キャプチャの通り、大したことはしてませんが)一応貼っておきます。
→ なにかを漏れなく被りなく検討するときにやっていること | tanaken's blog - Google スプレッドシート